二度と不倫しないように書面に残すには?誓約書と示談書
配偶者の不倫が発覚したけど、子供も小さいし離婚しないことに。今後は二度と不倫相手と配偶者を会わないようにしたい!不倫相手に慰謝料も請求したいときはどうすればいい?
夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の異性と肉体関係をもつ「不倫」は裁判でも離婚を請求するに値する大きな理由の一つとなります。
しかし子供が小さかったり、経済的な不安から離婚するに至らず関係を修復しようとする夫婦が多いのも事実です。
被害者側からすると、精神的に受けるダメージは大きく気持ちを切り替えるのが難しい場合もあるでしょう。
配偶者と不倫相手が二度と同じ過ちを繰り返さないため、また不倫相手に慰謝料を請求し関係を清算させるために誓約書や示談書を取り交わすことは有効な手段と言えます。
誓約書と示談書
不倫の再発防止のため取り交わされる誓約書は、大きく2つに分けられます。
- 夫婦間での誓約書
- 不倫相手に対する誓約書(示談書)
誓約書と示談書はいずれも合意内容を証明するための書面であり、法律的には誓約書と示談書の間に大きな違いはなくどちらも証拠として利用されることがあります。
ただ、一般的な使用方法や文書の題名に基づくイメージの違いが存在します。
誓約書とは、一方の当事者が他方に対して法的な約束をする書面であり、通常は将来の出来事に関する約束を記載します。
誓約書は、署名した人だけがその内容に拘束されます。
示談書は、紛争の当事者全員が署名し、合意内容に拘束されます。
不倫に関する示談書では不倫された配偶者と不倫した配偶者が合意した内容を記載し、全当事者が署名捺印します。
夫婦間での誓約書
離婚せず関係修復を築いていこうとするとき、被害者側が一番に願うことは「二度と同じ過ちを繰り返してほしくない」ということだと思います。
不倫の再発防止と慰謝料請求の内容を誓約書に含めしっかりと書面に残しておきましょう。
書面にしておくことで万が一、誓約違反となったときでも有力な証拠となります。
誓約書に記載する内容
夫婦間での不倫の誓約書に記載するべき内容は、以下のような要素を含むことが一般的です。
- 不倫の事実認定と謝罪
不倫をした側が不倫の事実を認め、具体的な内容(誰が、誰と、いつ、どこで、どの程度の頻度で不貞行為を行ったか)を明記し、謝罪する文言を含めます。 - 慰謝料の支払い
不貞行為による精神的苦痛を補償するための慰謝料の額、支払期限、支払方法を明記します。 - 関係の解消
不倫関係を解消し、今後不倫相手と会わないことを約束する内容を記載します。 - 禁止事項
相手が誰であれ不貞行為はしないことや、不倫関係にあったことをSNSや知人友人に一切口外しないことを約束します。 - 違約金の設定
約束を破った場合の違約金についての規定を設けることができます。これにより、誓約書の実効性を高めることが期待されます。
誓約書は法的に拘束力を持つ証拠となり得るため、内容をしっかりと理解し双方が納得した上で作成することが重要です。
作成するのは夫・妻のどちらでも構いませんが反省の意味も含めて有責配偶者が作成することが多いようです。誓約書を作成したら署名・押印は必ず自筆で本人が行います。
誓約書の内容はそれぞれの夫婦の話し合いにより決めていくことになりますが、公序良俗に反する内容は記載したとしても無効となります。
例えば、「次また不倫したら離婚する」「今後一生妻(夫)の言う事に従う」「有責配偶者の収入から考えて支払えない額の慰謝料を請求する」などです。
厳しすぎる内容にすると、結局約束を守れなくなり夫婦関係もギクシャクしてしまいます。
不倫相手に対する示談書
婚姻を継続していこうと考えたとき、きっちりと不倫関係を清算させるために不倫相手にも誓約書を作成してもらうのは有効な手段となるでしょう。
不倫相手が配偶者の婚姻関係を知らなかった、または知るべき状況にいなかった場合を除いて不倫相手にも慰謝料を請求することが出来ます。
本来被害者であるはずの不倫された側が、慰謝料はどうするか、誓約書の内容をどうするか、不倫相手との交渉など大きな精神的負担を強いられるのはおかしいと思うかもしれません。
しかし大切なのは不倫の再発防止。
自分の未来を見つめ、配偶者や不倫相手との適切な対応をしっかりと進めていきましょう。
気をつけるポイント
不倫相手と話し合いをするときは以下のようなことに気をつけます。
- 相手の連絡先を把握しておく
- どのような示談の内容にするか、あらかじめ考えておく
- 感情的にならない
- 弁護士に相談することも視野に入れておく
不倫相手との接点が全くない場合、最初のコンタクトはこちらからすることになるでしょう。
配偶者に不倫相手の連絡先を聞ければいいですが、そうでない場合はしっかりとした証拠を手に入れてから相手に連絡をしていきます。
直接会うことに抵抗がある場合は、内容証明による通知をして様子を見たり、メールなどで対応することもあります。
示談書の作成はこちらが行うようにすることで、主導権を握りやすくなります。あらかじめどういう内容にするのか、慰謝料はどうするのかも考えておきましょう。
また話し合いの場においては冷静な対応を心がけます。感情的になり暴言を吐いたり、示談書を強要することになればこちらの立場が弱くなってしまいます。
どうしても話し合いがまとまらないときや相手との交渉でどうしていいかわからないときは弁護士に相談することも視野に入れておきます。