離婚公正証書を代理人にお願いしてもいい?

仕事でどうしても平日休みが取れない。公証役場で離婚公正証書の手続きを代理人にお願いしたいんだけど・・・

離婚公正証書を作成するためには、原則として夫婦そろって公証役場に出向く必要があります。

しかしやむを得ない事情がある場合は、公証人の承諾を得たうえで代理人にお願いすることもできます。

離婚の契約という、今後の人生を大きく決める権利や義務が発生する行為を他の人にお願いするわけですから、代理人の選任はしっかりとしなくてはいけませんし代理人もまた委任者に契約内容を十分に理解してもらい安全に契約を取り交わす責任があります。

離婚公正証書を代理人にお願いするケース

離婚に際して作成される公正証書は、離婚に伴う財産給付について記載されることが多いことから、「離婚給付等契約公正証書」といわれています。

身分を変動させる契約であることからのちにトラブルになることも多く、代理人を認めず本人のみが離婚公正証書を作成するべきと考える公証人もいます。

離婚公正証書を代理人にお願いする場合は、事前に公証役場に連絡し公証人と話し合う必要があります。

代理人にお願いするケースとしては以下のようなものが考えられます。

  • 夫婦間で紛争があり、すでに弁護士が関与している
  • 平日の休みが取れない
  • 別居、あるいは単身赴任などで遠方に住んでいる
  • 対立が深く相手と顔を合わせたくない

公証役場の営業時間は平日9時~17時となっており、土日祝の対応はしていません。

そのため仕事が忙しく休みが取れない場合は、代理人にお願いするほかないというのが実情でしょう。

またすでに夫婦のどちらかが遠方で別居していて、調印予定の公証役場まで出向くのが現実的でない場合もあります。

離婚理由が相手の不貞行為などで夫婦間の対立が深い場合、感情的に顔を合わせたくないこともあるでしょう。行政書士等に代理人をお願いする場合は認められるケースが多いですが、友人・知人が代理人となる場合は認められないこともあります。

代理人にお願いする場合の必要書類

離婚公正証書を代理人に依頼する場合、依頼者側が用意しなくてはいけないものが2点あります。

  • 委任状
  • 印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)

委任状には実印で押印するため、印鑑登録証明書の提出が必要です。発行から3ヶ月以内のものを用意しておきます。

また代理人自身も本人確認できるものを提出します。

公正証書作成には謄本や本人確認書類など提出書類が多くありますが、公正証書は公証人が作成する公文書です。

公文書(行政文書)とは、行政機関の職員が職務上作成・取得し、組織的に用いる文書のこと。

公文書は、行政の透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たすための重要な手段として位置づけられています。適切に管理・保存されることで、現在および将来の国民が行政活動を理解し、検証することが可能となるのです。

社会的信用が高い文書のため確認もしっかり行われます。

離婚公正証書を代理人に任せる場合のデメリット

離婚公正証書を代理人に任せる場合のデメリット

離婚公正証書を代理人に任せる場合のデメリットとして以下のようなものがあります。

  • 関心の低下
  • 心理的効果の欠如
  • 送達証明書のリスク
  • 手続きの煩雑さ
  • 公証人の判断

➀関心の低下

代理人に任せることで、公正証書の内容やその重要性を十分に理解しないまま離婚を成立させる可能性があります。

これにより、後でトラブルが発生することがあります

心理的効果の欠如

夫婦が直接公証役場に出向いて調印することで、心理的なけじめや「約束を守らなければならない」という意識が生まれますが、代理人を通じて手続きを行うとこの効果が得られにくいです

送達のリスク

債権者が養育費など金銭を受け取れない場合に行う「送達」を離婚公正証書作成日に済ませておくことが出来ますが、債務者が代理人を立てた場合はそれができません。

交付送達をする場合は、債務者本人が公証役場へ行く必要があります。

④手続きの煩雑さ

代理人に依頼する場合、専用の委任状が必要であり、通常の手続きよりも時間がかかります。

委任状には詳細な内容が記載され、実印での署名捺印と印鑑証明書が必要です

➄公証人の判断

公証人によっては、代理人による離婚公正証書の作成を認めない場合があります。

これは地域や公証人の方針によるため、事前に確認が必要です

将来のトラブルリスクも考えて、代理人に依頼するかどうか決めましょう!