慰謝料が請求できないときってあるの?
そもそも慰謝料請求ができない場合はどんなときなのか知りたい・・・
慰謝料は相手からの不法な行為に対して、精神的苦痛を受けたことへの償いのお金として支払われるものです。
不倫してるっぽい、何か怪しい気がする・・・という曖昧な動機だけでは慰謝料を請求することは出来ません。
慰謝料を主張できないケース
慰謝料が請求できない場合には、いくつかの条件が考えられます。以下に、慰謝料を請求できない主なケースをまとめます。
- 証拠が不十分な場合
- 故意または過失が認められない場合
- 時効が成立している場合
- すでに十分な慰謝料を受け取っている場合
- 夫婦関係がすでに破綻していた場合
- 協議書や公正証書に精算条項がある場合
一つずつ説明していきます。
➀:証拠が不十分な場合
慰謝料を請求するためには、不法行為があったことを証明する証拠が必要です。
例えば浮気や不倫の場合、写真やメールのやり取り、調査会社の報告書などが証拠となり、DVやモラハラの場合は医師の診断書や医療機関の記録などが証拠となります。
証拠がなければ、相手から「気のせいだ」「言いがかりだ」などと言われて終わってしまいます。
第三者が客観的に見て判断できるだけの確実な証拠を用意しておきましょう。
②:故意または過失が認められない場合
相手が故意に、または過失によって権利を侵害したことが認められない場合、慰謝料を請求することはできません。
例えば、相手が既婚者であることを知らずに関係を持った場合や、通常の注意をきちんと払っていた場合、脅迫によって関係を持たされた場合などが該当します。
また出会い系サイトなどで、お互いのことをよく知らずにすぐに肉体関係を持ってしまった場合も慰謝料の請求は認められません。
③:時効が成立している場合
慰謝料請求には時効が存在し、一定期間が経過すると請求できなくなります。
不倫の慰謝料請求の場合、「損害及び加害者を知ったときから3年」なので、不貞行為があったとき(損害)及び浮気相手(加害者)のことを知ったときから3年を経過すると請求できなくなります。
④:すでに十分な慰謝料を受け取っている場合
すでに精神的な損害を補うのに十分な慰謝料を受け取っている場合、追加で請求することは難しいです。
不倫の慰謝料200万円が妥当だとして夫から200万円の慰謝料を受け取っているのに、追加で浮気相手からも100万円慰謝料を請求するということはできません。
➄:夫婦関係がすでに破綻していた場合
浮気や不倫が発覚した時点で、すでに夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料を請求することが難しいです。
これは、浮気が直接的な原因で夫婦関係が破綻したわけではないと見なされるためです。
夫婦関係の破綻とは夫婦関係が修復困難な状態になっていることを指し、夫婦双方に離婚の意思がある場合や長期間別居している場合、夫婦のどちらか、または双方が関係を修復する意思を失っている場合などがあてはまります。
⑥:協議書や公正証書に精算条項がある場合
離婚した後でも慰謝料を請求することは可能です。
しかし離婚協議書や公正証書で「慰謝料を請求しない」と約束した場合、その後に慰謝料を請求することは非常に難しくなります。
特に、離婚協議書や公正証書に「清算条項」が含まれている場合、これは互いに金銭請求をしないことを確認したものとされ慰謝料の請求が制限されます。
ただし、例外的に離婚前に不倫の事実を知らなかった場合や、重要な事実を隠されていた場合には清算条項の取り消しや無効を主張できる可能性があります。
このような場合には、慰謝料の請求が認められることもあります。
まとめ
慰謝料は必ず請求できるものではありませんし、請求したからと言ってすべて支払われるものではありません。
条件をきちんと確認して、請求するとしても相手とよく話し合い落としどころを見つけていくことも大切です。