離婚協議書を作っていたら公正証書にるすのは簡単?
離婚するとき離婚協議書に夫婦で署名・押印したから、これを公証役場に持っていけばいつでも公正証書にしてもらえるんでしょ?
離婚するときに夫婦で約束事を決めて離婚協議書に署名・押印したからといって、それを持って公証役場へ行けばすぐに離婚公正証書を作成してもらえるわけではありません。
離婚協議書の内容に不備や法律上無効な記載がある場合、そのままでは公正証書にすることができません。必要に応じて、内容を改めて調整する必要があります。
離婚協議書の契約内容を確認
離婚の意志が決まったら早く離婚届を提出して新しい生活をスタートさせたい、相手と距離を置きたいと考えるのは自然なことです。
二人がそう考えるのであれば、とりあえず離婚協議書を作成し、あまり内容を確認せず署名・押印してしまうかもしれません。
しかし離婚協議書さえ作っておけば、後からいつでも公正証書にできると考えるのは早計です。離婚協議書を公正証書にする際には、以下の点に注意する必要があります。
- 法的有効性の確保
- 強制執行可能な形式
- 実現可能な契約内容
- 必要書類の準備
- 費用の考慮
- 双方の合意
➀法的有効性の確保
公正証書には法律上無効な内容や公序良俗に反する事項を記載することができません。
例えば相手に再婚を禁止したり、親権を放棄したりする内容は無効です。
そのため、離婚協議書の内容が法的に有効であることを確認し、必要に応じて調整する必要があります。
②強制執行可能な形式
金銭の支払い契約については、強制執行が可能な形式で定める必要があります。
これにより、支払いが滞った場合に法的な強制力を持たせることができます。
③実現可能な契約内容
養育費、慰謝料、財産分与などの支払いが重なると、債務者側の負担が重くなる可能性があります。
無理な契約は相手の支払い意欲を低下させる可能性があるため、実現可能な内容に調整することが重要です。
また公正証書に記載する内容は明確で具体的である必要があります。不明確な表現や条件は避けるべきです。
④必要書類の準備
公正証書作成には、戸籍謄本、離婚協議書(原案)、不動産の登記簿謄本(必要な場合)、年金手帳・年金分割のための情報通知書(年金分割の場合)などの書類が必要です。
事前に準備しておくことが重要です。
➄費用の考慮
公正証書の作成には手数料がかかります。金額は協議書に記載された合意の金額によって異なります。
⑥双方の合意
公正証書の作成には双方の合意が必要です。一方が拒否する場合、作成できません。
また公証役場へは原則として二人そろって出向きます。
その他にも
公証役場の業務時間は平日9時~17時となるため、仕事をしている場合は双方の調整が必要です。
このように、あとから公正証書を作成となると双方の協力が必要になるため、お互いの対立が深い場合はスムーズに進行しないことが多くあります。
将来公正証書の作成を考えているのであれば、離婚協議書作成の段階で一気に手続きを進めたほうがトラブルも少なく効率的に作業を進められます。
公正証書の原本は公証役場で厳重に保管されるので安心です。